岡山県北に冬が来ました(このコラムを書いているのは2021年12月8日です)!
小春日和で日中暖かい日もありますが、県境の山が白くなったり、朝、車のフロントガラスが凍っていたりと、冬の訪れを実感することが多くなりました。県北では秋から初冬にかけて野生動物の目撃情報が相次ぎます。採水現場へ向かう道中で鹿とぶつかりそうになったり、県北東部では、何と‼民家付近でクマの出没情報もありました!
そんな野生動物が関係する水質検査項目に「クリプトスポリジウム」というものがあります。
クリプトスポリジウムはヒトを含む哺乳動物の消化管内に寄生する原虫です。感染した動物の糞便に混じって環境中に排出され、クリプトスポリジウムに汚染された水や食品を摂取することによりヒトにも感染します。感染すると下痢、腹痛、嘔吐、微熱などの症状が1、2週間程度続きます。
(左写真)クリプトスポリジウムの環境中(動物の体の外)での姿でオーシストと言われる。直径3.5-6.5㎛。楕円形の殻の中のバナナ状のものをスポロゾイドといい、動物の体内に入るとオーシストから出てきて消化器官内で増殖する。
(右写真)オーシストを蛍光染色したもの。スポロゾイドの核が青く光り、4つのスポロゾイドが観察できる。
このクリプトスポリジウムの厄介なところは、塩素消毒による効果がほとんどないことです。
そのため、各水道事業体は塩素消毒だけでなく、ろ過や紫外線処理などの様々な処理工程を用いて安全な飲料水を提供しており、当財団でも水道の水源のクリプトスポリジウム検査も行っています。
感染した場合、特定の治療法はなく症状に応じた対症療法がおこなわれます。
通常は1、2週間で自然治癒します。予防接種は無いので、生水は避けて煮沸して飲用する(クリプトスポリジウムは熱に弱い)、食事・調理の前は十分手を洗う、動物を触った後は手を洗う等気を付けましょう。
あらゆる感染症予防の基本です!