人の活動に由来する汚水などの人為的な汚濁物質のほとんどは有機物を含んでいます。
水質汚濁における有機物の指標として、BOD(生物化学的酸素要求量)、COD(化学的酸素要求量)及びTOC(全有機体炭素)の3つが知られています。
日本の公共用水域の環境基準は、河川についてはBODを、湖沼や海域についてはCODを指標としています。
BOD(生物化学的酸素要求量)
BODは生物が分解可能な有機物量としての指標です。20℃の暗所で5日間に消費される酸素量です。主として微生物による酸素の消費のため、微生物の活動を妨害する物質(クロム、銅、カドミウム、水銀などの重金属)が含まれる場合には、BODが低くなることがあります。また、アンモニア態窒素や亜硝酸態窒素が、亜硝酸菌や硝酸菌によって亜硝酸や硝酸に酸化されるときにも酸素が消費されるため、BODが高くなることがあります。
COD(化学的酸素要求量)
酸化剤(過マンガン酸カリウム)で酸化される有機物量としての指標です。100℃で30分間煮沸して酸化した時に消費された酸化剤の量を酸素の量に換算して表します。還元性無機物の酸化での消費分も含まれるため、分解されやすい物質や還元性無機物が多いとCODは高くなります。また、酸化されにくい物質(ギ酸、酢酸、アセトン、ベンゼンなど)が含まれるとCODは低くなります。
TOC(全有機体炭素)
TOCは有機物の全量を表す指標です。有機物中の炭素を高温で直接燃焼させて発生した二酸化炭素の量から求めるので、有機物をほぼ100%分解して得られる値です。
水質汚濁における有機物の指標であるBOD、COD、TOCには、各々特徴があります。測定する目的によって分析項目を選択することで有機物汚濁の管理を適正に行うことができます。
詳しくは、環境部までお問い合わせください。