池や水槽のコイや金魚が、水面から口を出してパクパクさせている様子をみたことはありませんか。
エサを食べるときもパクパクしますが、水中の酸素が少なくなってえら呼吸が苦しくなるとパクパクすることがあるそうです。
今回のコイや金魚の話、ではなくて水中の酸素のお話です。
水に溶けている酸素の量のことを溶存酸素量といいます。
溶存酸素量は、生活環境の保全を目的として、河川・湖沼・海に対してそれぞれ環境基準値が定められています(詳しくはこちら)。
人の活動による汚水はたくさん有機物を含んでいます。
汚水を川へ流すと、酸素をつかって微生物が有機物を分解するので溶存酸素量は少なくなってしまいます。溶存酸素が少なくなると魚などの生き物たちの呼吸が苦しくなり、魚たちが棲めなくなってしまいます。
さらに酸素が少なくなると、酸素が少ない環境で活動する微生物(嫌気性微生物といいます)が有機物を分解し始めます。嫌気性微生物は悪臭の原因になる硫化水素を発生させます。
ちなみに、人の活動や微生物の働き以外にも、溶存酸素量は増えたり減ったりします。
大気中の酸素が水に溶けるのですが、水温が低いほど酸素が溶けやすく、水温が高いと酸素が減ります。
昼は植物プランクトンや藻類の光合成が活発になり酸素が増えますが、夜は植物プランクトンや藻類も呼吸するだけなので、酸素の量が減ります。
溶存酸素量はその水域の生態系や景観に影響を及ぼします。
排水を下水道や浄化槽で適切に処理した水だけを川や海へと流すしくみを整え、生命豊な水環境を守っていきたいですね!!
ちなみに・・・。
水面ではなく水中で金魚が口をパクパクさせているときは、水中の溶存酸素をえらに送り込むために口を動かしているのだそうです。
水槽の溶存酸素量が適切に保たれているということなので安心して下さいね!