細菌やウイルスが原因の食中毒は一般的に、食品の中で大量に増えてしまった菌、または菌がつくった毒素を摂取することで発症します。
中には、他の菌と比べて少量摂取しただけでも食中毒を起こすものもいます。過去に紹介したノロウイルスもそうですが、カンピロバクターという菌にも注意していただきたいのでお知らせします。
2023年9月に流しそうめんで発生した食中毒の原因菌としても話題になりました。
カンピロバクター症は世界中で下痢症を起こす四大原因疾患の1つであり、カンピロバクターは胃腸炎を引き起こす原因として最も多い菌と言われています!
日本でも、令和4年の細菌性食中毒の原因菌として1位(発生件数185件、患者数822人)となっていて、報告されている患者の数も、過去10年間で毎年3位以内を占めています。
カンピロバクターに感染すると、2~7日で発症し、発熱・倦怠感・頭痛・筋肉痛が起こり、次第に吐き気・下痢がみられます。多くの患者は1週間位で回復しますが、まれに末梢神経麻痺をおこす神経疾患(ギランバレー症候群)を発症することもあります。乳幼児や高齢者など抵抗力が弱い場合は重症化しやすいので注意が必要です!
カンピロバクターは家畜やペットの腸管に生育していて、とくにニワトリは保菌率が高いです。また、湿潤な環境で長い期間生存できるので、野生生物で汚染された井戸水や環境水にも存在しています。私たちの身近に存在し、触れる可能性が高い菌です。
今回はカンピロバクターへの感染予防のポイントをご紹介します!!
予防のポイント
〇食品の中では、ニワトリやウシの肉や肝臓が汚染されています。そして、カンピロバクターは熱と乾燥に弱いです。調理のときは、目安として中心部が75℃・1分以上、ご家庭ではしっかり色が変わるまで加熱しましょう!
〇食肉用と他の食材用で調理器具や容器を分けましょう!使用した器具は洗浄・消毒し、よく乾燥させましょう!食肉専用の包丁・まな板・箸を使用し、サラダなどの生野菜への汚染を防ぎましょう。
〇食肉を取り扱ったあとは手を洗いましょう!手から汚染を広げないようにしましょう。
洗浄や消毒方法については過去のコラムも参考にして下さい。
当財団では、製造・販売される食品の品質管理や賞味期限設定のための科学的根拠となる微生物検査も行っています。カンピロバクターだけでなく、食品の種類やご要望に応じた細菌の検査を行いますので、お気軽にお問合せ下さい。