厚生労働省は、全国の児童相談所が2020年度に相談対応した児童虐待相談対応件数が、過去最多の20万5029件だったと発表しました。これは、調査を始めた1990年度から30年連続で増えています。新型コロナウイルス対策で外出自粛が求められる中、生活不安やストレスなどから、DV(ドメスティック・バイオレンス。配偶者や恋人など親密な関係にある、またはあった者から振るわれる暴力)の増加・深刻化や、児童虐待のリスクの高まりも懸念されています。
DVや児童虐待というと、人ごとのように感じる方も多いと思います。しかし、身体的な暴力だけではなく、言葉による暴力や無視などもDVや虐待に含まれます。まだ暴力を振るうには至らない、でも家で始終イライラして家族にきつくあたってしまうという方は注意が必要です。
新型コロナ感染拡大は「感染の不安」、「経済的な不安・雇用不安」、「将来への不安」という要素を持つストレス要因です。このような不安を抱え込んだまま過ごすことで、DVや虐待につながりかねない心や体の不調が引き起こされます。下記のような不調のサインに気づき、早めに行動修正しましょう。
心の不調のサイン:少しのことでカッとなる、大声を出したり早口になる、イライラする、落ち着かない、集中できない、乱暴に音を立ててドアを閉めたり物を置く、物にあたる
体の不調のサイン:眠りが浅い、朝起きてもすっきりしない、アルコール量が増える、食欲がない、顔がこわばる、笑わなくなった
一時的でもこうした傾向がある時は要注意です。特に今回のようにストレスの素が目に見えないウイルスという場合、怒りをぶつける対象や適当な場がないことで身近な人にあたったりします。まずは周囲に相談できる人を見つけ、一人で感情をため込まないようにしましょう。
ふだん感情をあまり表現しない方は「表現する場」を作ることが大事です。日記を書いたり、普段感じている不安や怒りを文字や絵にしてみると気持ちが楽になります。
外出自粛で身体を動かせないことが、イライラをためる要因にもなります。人混みではない近所を一人で決まった時間に定期的にウォーキングする、食料の買い出しに行く、など積極的に身体を動かしましょう。インターネットなども利用して、全身を動かしたり声を出すこともイライラの解消に役立ちます。
まだまだ制限のある生活の中で、多くの方にとってはストレスの大きい状況が続いていることと思います。あなたの周りの大切な人を傷つけることのないよう、上手にストレスを解消していきましょう。