2020年11月現在、新型コロナウイルスが世界的に流行し、皆さんも手洗いやアルコール消毒、マスクの着用など対策を実施されているかと思います。
これから来る冬に流行しやすく、新型コロナウイルスと同様に注意していただきたいのが、ノロウイルスによる食中毒です。食中毒といえば高温多湿で食品の傷みやすい夏に多いイメージですが、ノロウイルスは冬に本格的に流行しやすく油断できません。
ノロウイルスの感染経路と特徴
<特徴>
〇大きさが直径35nm~40nmと非常に小さく、金平糖のような形状。しわや爪の間に入り込み手洗いで落ちにくい。
〇低温や乾燥に強い。
〇感染力が強い。10~100個のウイルスが口に入ると感染・発症する。
〇感染した際の症状は、突然の吐き気と嘔吐、激しい下痢、腹痛、時に発熱、頭痛、筋肉痛。
上の図の通り、感染者の指を介してウイルスが付着した食品、調理器具、ふん便や嘔吐物が乾燥して舞い上がったちりなど、複数の感染経路があります。
二枚貝はウイルスが消化管の奥まで侵入するので長期間蓄積しやすく、食中毒の原因になることがあります。
ノロウイルスの予防対策のポイントは次の4つです。
➀持ち込まない ②拡げない ③加熱する ④つけない
クリスマスやお正月に家族で集まった際に欠かせない鍋や大皿料理、冬が旬の食材の調理の際には、上記のポイントを押さえた対策が、ノロウイルス感染防止のためには重要です。
ノロウイルスの除去や不活化のポイント
方法 | ポイント |
手洗い |
・指輪や時計ははずす。 ・石鹸を用いてもみ洗いをしたのち、流水で濯ぐ。 ・2回繰り返すとより効果的。 |
煮沸、スチームアイロン、 熱湯などによる加熱 |
・中心温度が85℃~90℃で、90秒以上加熱する。 |
塩素系漂白剤 (次亜塩素酸ナトリウム) による消毒 |
・ペットボトルの水500mLに対して次亜塩素酸ナトリウムをキャップ2杯混ぜた消毒液を吹きかけ、便や嘔吐物を拭き取る。 ・次亜塩素酸ナトリウムは皮膚に対する刺激が強いので、取り扱い方法をよく読んで使用する。 |
新型コロナウイルスはエンベロープウイルスというグループに属していて、エンベロープという脂質性の膜をもっています。アルコール類はこの膜を破壊してウイルスにダメージを与えるため、新型コロナウイルス対策として効果的です。
一方、ノロウイルスはノンエンベロープウイルスという別のグループで膜を持たないため、アルコール類はノロウイルスに対して効果が低く、次亜塩素酸ナトリウムを用いたほうが効果的です。
これまで実施されている新型コロナウイルスへの対策と並行し、必要に応じたノロウイルスの予防対策を実施することで、楽しいイベントの多い冬を感染症に脅かされることなく、健康に過ごしていただければと思います。