今回は過去の食中毒に関するコラム(ノロウイルス・黄色ブドウ球菌のコラムを参照)の中で紹介した一般的な消毒方法について、より詳しくお伝えしたいと思います。
煮沸消毒
沸騰したお湯(100℃)の中で微生物を死滅させる方法。消毒したい物がかぶるくらいの水を入れて沸騰させることが、十分な消毒効果を得るポイント。
金属・繊維・ガラス・陶磁器製品に対して比較的容易で確実な消毒ができる。
熱に弱い材質(ゴム・漆器・合成樹脂など)には使えない。
消毒用エタノール
無色透明・揮発性で特有の匂いがある。細菌や一部のウイルスに効果が高く、手指や多様な器具の消毒に効果がある。濃度は70%が最も効果が高く、短時間で効果を発揮する。
ただし、ノロウイルスなどエタノールが効果的ではないウイルスも存在するので、目的に応じて次亜塩素酸ナトリウムとの使い分けが必要。※ノロウイルスのコラムを参照
また、消毒用エタノールを購入するときは、パッケージに表示されているエタノール濃度が70~80%であることを確認するとよい。
人の粘膜に対して刺激性が強く、眼にかからないよう注意する。
次亜塩素酸ナトリウム
細菌・ウイルス・カビなどに殺菌作用があり、特有の匂いがある。エタノールが効果的ではないウイルスに対しても効果を発揮し、調理器具等の消毒に使用する。
塩素系漂白剤の主成分で、実際に使用するときは塩素濃度6%の塩素系漂白剤(市販されているものは、塩素濃度が5~6%のものが多いようです)を、500mLのペットボトルの水に対してキャップ1杯、嘔吐物など汚染されている可能性が高いものにはキャップ2杯程度混ぜたものを使用する。
次亜塩素酸ナトリウムは皮膚に対して強い腐食性があるので、濃度の高いものは取り扱いに注意すること。
石けん
一般的な石けんには弱い消毒作用はあるが、洗浄力の方が大きく脂肪や汚れを除去する。皮膚に対して刺激性が少ない。
手洗いでは、指輪などは外して石けんを泡立て、爪やしわの間もしっかりと洗い、流水で物理的に洗い流すことが大切。2回繰り返すとさらに効果的。
手指に付着している菌やウイルスは、流水による15秒の手洗いだけで100分の1に、石けんで10秒洗って流水ですすぐと1万分の1に減らすことができます。
上記の通りエタノール消毒が有効でないウイルスも存在するので、調理前やトイレ後には石けんによる丁寧な手洗いは重要です!
洗剤・薬品に関しては、実際に購入した商品によって取扱い方が異なる場合があるので、使用前には必ず商品の説明をよく読んでから使用して下さい。
消毒液や洗剤を必要以上に使用することは、人の体そのものに害を及ぼしたり、設置している浄化槽の機能(浄化槽Q&Aのコラムを参照)にダメージを及ぼすことがあります。
これらの消毒方法を適切に用いて、食中毒をしっかり予防して下さい!