日本各地で有機フッ素化合物(PFAS)問題が取沙汰されています。PFASは、撥水材、泡消火剤など、身近な製品に使用されていました。PFASは12,000化合物を超えるとされていますが、この内PFOSについては、半導体工業、金属メッキ、写真工業等に、PFOAは繊維、電子基板、自動車等に使用された実績があります。これらを使用していた工場周辺や米軍基地周辺、産業廃棄物周辺などから、環境水中のPFAS検出が相次いでいます。
画像引用:有機フッ素化合物(PFAS)について | 環境省(外部リンク)
PFASは永遠の化学物質といわれ、化学的に非常に安定な物質です。光分解や微生物分解に対して耐性があり、水に溶けやすい性質もあります。ひとたび環境中に放出されると広く拡散され、環境中で分解されずに残留し続けます。
「水道におけるPFOS及びPFOAに関する調査」によると、暫定目標値※を超過した事業は、2020年度は11事業ありましたが、年々減少し、2024年度(9月30日時点)では超過した事業はありませんでした。
一方で、日本国内の河川水及び地下水のPFOS及びPFOAの調査結果によると、暫定指針値※を超える地点が相次いで検出され環境水の汚染が確認されており、農畜水産物への影響も心配されます。
しかしながら、通常の一般的な食生活から食品を通じて摂取されるPFOS及びPFOAによって、著しく健康影響が生じる状況にはないものと考えられているようです。PFOS、PFOA等のリスクを過剰に懸念して食生活を変更することにより、逆に必要な栄養素を摂取できなくなるリスクがあることが示されています。
PFASについては、発がん性が疑われる物質もありますが、健康影響については不明な点も多いです。今後、さらなるデータの集積が進み、引き続き行われる国の対策に注目していきたいです。
※PFOS及びPFOAの合算で0.00005mg/L(50ng/L)以下